ロードバイク初心者にとって、予算を抑えながらも本格的な走行体験を求める際、選択肢の多さに迷うことは珍しくありません。特に5万円前後の価格帯では、見た目は似ていても性能や品質に大きな差があるのが現実です。ANIMATO CRESCENDO 700Cは、この価格帯において「本格的なエントリーロードバイクに近い使用感」を提供するモデルとして注目を集めています。シマノClarisコンポーネントの搭載、11.4kgという軽量性、そして豊富なカスタマイズ性を兼ね備えたこのロードバイクは、多くの専門サイトで高い評価を獲得しています。しかし、通販での購入には組み立てや初期調整という課題もあり、購入前に知っておくべきポイントが数多く存在します。本記事では、実際のユーザーレビューや専門家の評価をもとに、CRESCENDOの真の実力と購入時の注意点について詳しく解説していきます。

ANIMATO CRESCENDO 700Cロードバイクの基本スペックと特徴は?
ANIMATO CRESCENDO 700Cは、大阪のアニマト株式会社が販売するロードバイクで、メーカー希望小売価格89,800円に対し実売価格52,800円前後という圧倒的なコストパフォーマンスが最大の特徴です。2025年6月時点のマイベストレビューでは、初心者向けロードバイク16商品中3位にランクインし、総合スコア4.44点という高評価を獲得しています。
フレーム素材にはアルミを採用しており、軽量性と耐久性のバランスに優れています。カーボンフレームは軽量で高性能ですが20万円以上と高価で、転倒時の破損リスクも高いため、初心者の最初の1台としてはアルミが最適とされています。実測重量は11.4kgと同価格帯ではトップレベルの軽さを誇り、ホイール・タイヤなどの足回りも3.8kgと軽量に仕上げられています。
コンポーネントには信頼性の高いシマノClarisを搭載している点が大きな差別化要因です。Clarisはシマノ製ロードバイク用コンポーネントの下から2番目のグレードですが、GIANTなどの有名ブランドのエントリーモデルにも採用される実績があります。リア8スピード、フロントとの組み合わせで合計16段変速が可能で、この価格帯では「超絶コスパモデル」と評されています。
ブレーキシステムにはデュアルピボットブレーキを採用し、シングルピボットに比べて高い制動力を実現しています。さらに、ロードバイクには珍しい補助ブレーキが標準装備されており、前傾姿勢に慣れない初心者でも上体を起こした状態でブレーキ操作が可能です。
ホイールサイズは700C(700×25Cタイヤ)を採用し、これはロードバイクで最も一般的なサイズです。グラベルロードで注目される650Bと比較すると、700Cは外周が大きく回転性能に優れ、同じ重量であればより良く進むとされています。また、ホイールやタイヤの選択肢も700Cの方が圧倒的に豊富で、将来的なカスタマイズにも有利です。
適応身長は約165cm以上が推奨されており、特に165~170cm前後の人がジャストサイズとされています。フレームサイズは1種類のみのため、身長に合ったサイズ選びが非常に重要です。カラーはマットブラックとホワイトの2種類から選択でき、どちらもシンプルなデザインでサイクリングウェアにも合わせやすくなっています。
初心者にとってCRESCENDOの走行性能と乗り心地はどう?
CRESCENDOの最も評価される点は、その軽快な走行性能です。11.4kgという軽量な車体と軽い足回りにより、初心者でもロードバイクらしいスピード感を体験できます。実際のユーザーレビューでは「貧脚の私でも平地で30km/hとか余裕で出る」「長距離走っても意外と疲れない」といった好意的な声が多数寄せられています。
加速性能と登坂能力においても、軽量性が大きなアドバンテージとなります。マイベストの検証では、12kg前後のモデルと15kg前後のモデルで短い上り坂において17秒ものタイム差が生じた例が報告されており、CRESCENDOの軽さが実際の走行性能に直結していることが示されています。初心者にとって坂道は大きな課題の一つですが、軽量な車体により負担を軽減できるのは大きなメリットです。
タイヤの特性については、標準装備の700×25Cタイヤは細身のため路面からの振動を拾いやすく、初めてロードバイクに乗る人には「乗り心地が悪い」と感じられるかもしれません。しかし、これはロードバイクの特性であり、慣れるとあまり気にならなくなるという声もあります。振動が気になる場合は、より太いタイヤへの交換やタイヤ圧の調整で改善が可能です。
サドルの硬さについては複数のユーザーレビューで「硬めでお尻が痛くなる」という指摘があります。これは長距離走行時に特に顕著になるため、サドルカバーの追加やよりクッション性の高いサドルへの交換が推奨されています。この点は、購入後の早期カスタマイズとして考慮しておくべきポイントです。
直進安定性においては、700Cホイールの特性により優れた性能を発揮します。一方で、小回りの効きやすさでは650Bに劣る面もありますが、舗装路での走行においては安定した走りを提供します。初心者が最初に体験するロードバイクとしては、安定性の高さは安心感につながる重要な要素と言えるでしょう。
シマノClarisのデュアルコントロールレバー(STIレバー)により、ブレーキレバーから手を離さずに変速操作が可能で、これは安全性と操作性の両面で初心者に大きなメリットをもたらします。16段変速の豊富なギアにより、平地から緩やかな坂道まで、様々な路面状況や疲労度合いに応じて最適なギア比を選択できる柔軟性も魅力です。
ただし、ロードバイク超初心者の視点からのレビューでは「比べ物にならないくらい速度が出る。しかも楽に」という驚きの声もある一方で、「乗り心地の悪さ(振動)」は指摘されており、これらの特性を理解した上で購入を検討することが重要です。
CRESCENDOの組み立てと初期調整で注意すべきポイントは?
通販でCRESCENDOを購入する場合、自宅での組み立てと初期調整が必須となります。これは価格を抑える上で避けて通れない要素ですが、適切な知識と注意深い作業が安全な走行のために不可欠です。
基本的な組み立て作業では、ハンドル、前輪、サドル、ペダルの4つのパーツを自分で取り付ける必要があります。前輪の取り付けでは、フロントフォークが前後逆の状態で梱包されている場合があるため、正しい方向に180度回転させることが重要です。クイックリリースレバーでの固定時は、タイヤが斜めにならないようフォークと車輪の幅を左右均等にし、手のひらで締め上げる程度の硬さでしっかりと固定します。
ペダルの取り付けでは特に注意が必要で、左ペダルは逆ねじ(反時計回しで締め込み)となっています。「L」が左用、「R」が右用の表示を確認し、しっかりと固定しないと走行中にネジ山が破損する原因となります。
初期調整の重要性は多くのユーザーレビューで指摘されています。まず、タイヤ空気圧については、商品到着時は空気が十分に充填されていないため、乗車前に適切な空気圧に必ず調整する必要があります。CRESCENDOはフレンチバルブを採用しているため、付属のバルブ変換アダプターまたはフレンチバルブ対応の空気入れが必要です。
STIレバーの取り付け角度について、古賀修三氏のレビューでは「補助ブレーキを握りやすい角度に設定されているため、STIレバーがかなり下向きにセット」されているケースが報告されています。これによりSTIブラケットポジションを握るのが困難な場合があるため、バーテープを一度外してレバー角度を適切に調整する作業が推奨されています。
変速機の調整では、特にフロントディレイラーのワイヤー張りが甘い傾向があります。アウター×トップギアでチェーンがディレイラーに擦れるといった症状が現れる場合、アジャスターボルトを最大限緩めても張りが足りなければ、ワイヤーの張り直しが必要となります。ユーザーレビューでも「リアのギアが8段目に上がらず調整は出来ていませんでした」という報告があり、初期状態での変速調整の重要性が示されています。
プロによる初期点検の重要性について、多くの専門家が「自転車店に組立を依頼すべき」と強調しています。安全に関わるブレーキや変速機、ホイール周り、ハンドル・ステム・シートポストなどの部品は、取り付け方を誤ると重大な事故につながる可能性があります。特に、格安自転車の中にはワイヤーの取り回しが不適切でブレーキがほとんど効かないといった、安全に関わる問題が報告されている事例もあるため、購入後の専門家による点検は安心して乗るための必須事項と言えるでしょう。
実際のユーザーからも「組立後はやはり不安なので初期点検を自転車店に出した」という声が多く、初期投資として数千円の点検・調整費用を考慮しておくことが推奨されます。
CRESCENDOのカスタマイズ性と将来的なアップグレードの可能性は?
CRESCENDOは「カスタムしやすい」という口コミが多い通り、ロードバイク規格のパーツを多く採用しており、将来的なアップグレードや個性的なカスタマイズが容易に行えます。この点は初心者がロードバイクに慣れてきた際の楽しみの一つとなります。
主要パーツの規格において、ハンドルを固定するステムのクランプ径は31.8mm、シートポストは27.2mmと、ロードバイクの主流サイズに対応しています。これにより、好みのハンドルバーやシートポストへの交換が容易に行えます。例えば、乗り心地や軽量性を向上させるためにカーボン製のシートポストに変更したり、ハンドル形状をより快適なものに調整することが可能です。
ホイール交換については可能ですが、注意すべき点があります。ホイールの装着部分の幅は9×100/130mmに対応していますが、古賀修三氏のレビューではリアエンド幅が135mmである点が指摘されています。これはロードバイクの一般的な規格である130mmとは異なるため、ホイールをカスタムする際にはハブの加工が必要となるなど、一工夫が必要となる可能性があります。この点は、将来的に本格的なホイールのアップグレードを考えているユーザーにとっては検討すべきデメリットと言えるでしょう。
実用的なカスタマイズ例として、まず多くのユーザーが指摘するサドルの硬さについては、サドルカバーを追加したり、よりクッション性の高いサドルに交換することで乗り心地を大幅に改善できます。これは比較的安価で効果の高いカスタマイズとして推奨されています。
ハンドル形状の変更も人気のカスタマイズで、ドロップハンドルからフラットバーに変更する「フラットバー化」の事例も報告されています。STIレバーを取り外してST-RS200などのフラットバー用シフターに交換するといった具体的な改造例もあり、より親しみやすいポジションでの走行を求めるユーザーに適しています。
タイヤカスタマイズでは、標準の25Cから23Cへの交換事例がユーザーから報告されており、走行性能の微調整が可能です。より太いタイヤへの変更により乗り心地を向上させることも可能で、用途に応じた選択ができます。
将来的なアップグレード戦略として、初心者は最初に快適性を向上させるパーツ(サドル、ハンドルバーテープ、タイヤなど)から始め、慣れてきたら性能向上を目指すパーツ(ホイール、コンポーネント)へとステップアップしていくことが推奨されています。CRESCENDOの規格対応の良さにより、このような段階的なカスタマイズが楽しめるのは大きな魅力と言えるでしょう。
マイベストの評価でも「カスタムのしやすさ」で4.76点という高評価を獲得しており、長期的にロードバイクを楽しみたいユーザーにとって、CRESCENDOは成長とともに進化させていける一台として位置づけられています。
他の格安ロードバイクと比較したCRESCENDOのコスパは?
ANIMATO CRESCENDOは格安ロードバイクの範疇に入りますが、ドン・キホーテなどで見られる超低価格帯の自転車とは明確に一線を画した品質を提供しています。この違いを理解することは、安全で満足度の高い自転車選びにおいて非常に重要です。
ドン・キホーテなど超格安自転車との比較では、まず安全性の面で大きな差があります。ドン・キホーテでは1万円台から自転車が購入できますが、ユーザーレビューでは「買ってすぐ壊れた」「値段は安いけど、すぐ壊れる」といった声が多く報告されています。実際に購入後28日でリアディレイラーが大破したという事例や、ブレーキワイヤーの取り回しが不適切で制動力がほとんどないといった、安全に関わる重大な問題も専門家によって指摘されています。
品質面での差において、CRESCENDOはシマノClarisという一定の品質が保証されたコンポーネントを搭載している点が決定的な違いとなります。超格安自転車の多くはママチャリ用のパーツや素材が用いられた「中身は別物」の製品が少なくありませんが、CRESCENDOはロードバイクとしての基本性能をしっかりと確保しています。
同価格帯での競合比較では、予算5万円前後のロードバイクの中で、メインコンポーネントにシマノのTourneyを採用しているモデルが多い中、CRESCENDOは上位グレードのClarisを搭載している点が大きな差別化要因となっています。Tourneyとの性能差は操作性や耐久性において顕著に現れ、初心者の学習コストや将来の満足度に大きく影響します。
有名ブランドとの比較では、GIANTやBianchiなどの有名ブランドのエントリーモデルが10万円以上するのに対し、CRESCENDOはそれに迫る基本性能を持ちながら価格を大幅に抑えています。マイベストの評価では「有名ブランドのエントリーモデルに近い性能を考慮するとコスパは優秀」と結論づけられており、実用性重視のユーザーには非常に魅力的な選択肢となっています。
総所有コストの観点から見ると、CRESCENDOは初期価格の安さだけでなく、信頼性の高いコンポーネントによりメンテナンス頻度や部品交換コストも抑制されています。超格安自転車では頻繁な修理や部品交換が必要となるケースが多く、結果的に総コストが高くなる可能性がありますが、CRESCENDOは適切なメンテナンスにより長期間の使用が可能です。
付加価値の比較では、CRESCENDOにはスタンドと補助ブレーキが標準装備されており、日常使いの利便性が考慮されています。多くのロードバイクではスタンドが付属しないため、追加購入の手間や費用を省くことができます。
ただし、CRESCENDOも通販購入に伴う組み立てや初期調整の必要性は避けられません。この点を適切に対応できるユーザー、または専門ショップでの初期点検を前提とした予算計画ができるユーザーにとって、CRESCENDOは非常にバランスの取れた選択肢と言えるでしょう。価格、性能、安全性の三要素において、同価格帯では圧倒的なコストパフォーマンスを提供しているのが、ANIMATO CRESCENDOの最大の魅力です。

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