ロードバイクでのライディングにおいて、サドル選びは快適性とパフォーマンスを左右する重要な要素です。特に長時間のライドやレースでは、自分の体に合ったサドルを選ぶことが成功の鍵となります。そんな中、PROLOGO SCRATCH M5 PASは、イタリアの高級サドルメーカーであるプロロゴが展開するフラッグシップモデルとして、多くのサイクリストから注目を集めています。このサドルは、ツール・ド・フランスを制したタデイ・ポガチャルやヨナス・ヴィンゲゴーといった世界トップクラスの選手が実際に使用し、勝利を重ねてきた実績を持っています。プロの世界で証明された性能は、アマチュアサイクリストにとっても大きな魅力です。本記事では、PROLOGO SCRATCH M5 PASの実際の評判について、ユーザーレビューやプロ選手の使用感、技術的な特徴、そして競合製品との比較まで、多角的に検証していきます。購入を検討している方にとって、実際の使用者の声は非常に貴重な情報源となるでしょう。
プロロゴサドルの評判と市場での位置づけ
イタリアのサドルメーカーであるプロロゴは、創業以来、革新的な技術と高品質な製品作りで知られてきました。同社の製品は、セライタリアやフィジークといった老舗ブランドと並んで、プロレースの世界で高い評価を受けています。特に近年では、科学的なアプローチに基づいた製品開発により、従来のサドルメーカーとは一線を画す存在となっています。ミラノ工科大学との共同研究や、独自の圧力分析システムを活用することで、単なる経験則ではなく、データに裏打ちされた製品を提供しているのです。
SCRATCH M5シリーズは、このプロロゴのフラッグシップラインとして位置づけられており、レーシング性能と快適性の両立を追求したモデルです。市場では、軽量性とパフォーマンスを重視するライダーから特に支持を集めています。2025年には3Dプリント技術を採用した3DMSSモデルも登場し、サドル技術の最前線を走る製品として業界内でも注目されています。プロロゴのサドルは、単なる座る部分ではなく、ライディングパフォーマンスを最大化するための重要なコンポーネントとして認識されているのです。
PROLOGO SCRATCH M5 PASの基本スペックと特徴
PROLOGO SCRATCH M5 PASは、プロロゴの技術力を結集したレーシングサドルです。その名称にあるPASとは、Perineal Area Systemの略で、サドル中央部に設けられた大きな穴が最大の特徴となっています。この構造は、会陰部への圧迫を軽減し、長時間のライディングでも快適性を保つために設計されました。医学的な根拠に基づいた機能的なデザインであり、単なる見た目のためのものではありません。
製品のスペックを見ると、サイズは長さ250mm、幅140mmとなっており、ロードバイク用サドルとしては標準的なサイズです。しかし、その軽量性は特筆すべき点で、Nackレールモデルで174g、Tiroxレールモデルで209gという重量を実現しています。この軽量性は、ベース素材に長繊維カーボンを採用することで達成されました。レール素材には、プロロゴ独自のNack複合材とTirox軽量合金鋼の2種類が用意されており、予算やパフォーマンス要求に応じて選択できます。
Nackレールは、カーボン、ケブラー、アルミニウムを組み合わせた複合素材で、高い強度と軽量性を両立しています。一方のTiroxレールは、コストパフォーマンスに優れた選択肢として、より手頃な価格で提供されています。どちらのモデルも基本的な構造と性能は同じであり、重量差は約35gです。レース志向の強いライダーにはNackレール、コストを抑えたいライダーにはTiroxレールが推奨されます。
プロ選手による評判と実績
PROLOGO SCRATCH M5 PASの評判を語る上で、プロ選手による使用実績は欠かせません。最も有名なのは、タデイ・ポガチャルがツール・ド・フランスで2連覇を達成した際にこのサドルを使用していたという事実です。世界最高峰のステージレースで勝利を収めるためには、機材の信頼性が絶対条件となります。ポガチャルは、トレーニングからレースまで一貫してSCRATCH M5を選択しており、その信頼性と性能の高さを証明しています。プロロゴは、この偉業を記念して限定版モデルを発売し、わずか10台のパーソナルモデルと100台のセレブラティブモデルは、すぐに完売したと言われています。
同じくツール・ド・フランス優勝者であるヨナス・ヴィンゲゴーも、Visma-Lease a Bikeチームでの活躍の中、SCRATCH M5 PASを使用しています。ヴィンゲゴーは、特に山岳ステージでの強さで知られており、長時間の上りでも快適性を維持できるサドルが必要でした。彼がこのサドルを選んだことは、PAS構造による圧迫軽減効果が実際に機能していることを示しています。
その他にも、エガン・ベルナル、セップ・クス、ワウト・プールス、ジョン・デゲンコルブ、ロマン・バルデ、マグナス・コルトといった著名なプロサイクリストがSCRATCH M5 PASを使用しています。これらのライダーは、グランツールや世界選手権といった最高峰のレースで活躍しており、極限状態での使用に耐える品質と性能を備えていることが証明されています。プロ選手が選ぶサドルには、確かな理由があるのです。特にショートノーズデザインとMSS技術により、これらのトップレーサーは、長時間のレースでも快適性とパフォーマンスを維持することができると評価しています。
実際の使用者からの評判とレビュー
プロ選手だけでなく、一般のサイクリストからの評判も非常に重要です。インターネット上のレビューやサイクリングコミュニティでの評価を総合すると、PROLOGO SCRATCH M5 PASに対する評価は、用途によって大きく分かれる傾向があります。
まず、座り心地については、多くのユーザーが高く評価しています。フラットな形状と適度な長さにより、シートポジションの変更が容易で、ライディング中に前後に体を動かすことができるという声が多数あります。T字型デザインと中央部の大きなカットアウトが、快適性とペダリングパフォーマンスの向上に貢献しているという評価は、多くのレビューで共通しています。丸みを帯びた形状は、臀部と内腿の間の抵抗を排除し、スムーズなペダリングを可能にします。特に前傾姿勢での走行時には、この形状の恩恵を強く感じるというユーザーが多いです。
ペダリングの安定性についても、評価は高いです。MSSによる5つの独立したパッドが、ペダリング動作をサポートし、パワーの伝達効率を向上させるという技術的な設計が、実際のライディングで体感できるとの声があります。あるユーザーは、カーボンレールの剛性の高さと座面を滑らないという支点となる臀部での力の逃げの少なさが合わさることで、最強のサドルになっていると評価しています。特にパワーを効率的に伝達したいレーサーには、CPC搭載モデルが魅力的な選択肢となっているようです。
しかし、長距離ライドに関しては、意見が分かれています。100km程度のライドや数時間の走行では、問題なく快適に使用できるという報告が多数あります。実際に、週末のロングライドや中距離のトレーニングライドでは、このサドルのパフォーマンスに満足しているユーザーが大半です。ところが、200kmを超えるようなブルベなどの超長距離ライドでは、パッドが薄く、ベースが硬いため、痛みが発生しやすいという指摘があります。
あるユーザーのレビューによれば、100kmを超えると鼠径部に痛みが発生し、160kmのライドの後には2日間違和感が続いたとのことです。カットアウト部分がデリケートな部分に擦れることが原因の一つと考えられます。このため、超長距離ライドを主に行うライダーには、より厚いパッドを持つSPACEバリアントや、Dimension NDRモデルのような快適性重視のサドルが推奨されることがあります。
SCRATCH M5 PASのパッドは、かなり硬めに設計されており、これはレーシング用途を想定したものです。レースや高強度のトレーニングには最適ですが、快適性を重視するロングライドには、より柔らかいモデルの方が適している場合があります。総じて、SCRATCH M5 PASは、レースや100から150km程度までのライドに最適なサドルと評価されています。軽量性、ペダリング効率、そして適度な快適性を兼ね備えており、パフォーマンス重視のライダーには非常に魅力的な選択肢です。
PAS技術に対する評判と効果
PROLOGO SCRATCH M5 PASの最大の特徴であるPAS技術について、ユーザーからの評判はおおむね肯定的です。PASとは、サドル中央部に設けられた大きな穴を指し、会陰部への圧迫を軽減する目的で設計されました。この構造により、血流の改善と神経への圧迫軽減が期待できます。
多くのユーザーが、PAS構造によって長時間のライディングでも会陰部の痺れや痛みが軽減されたと報告しています。特にロングライドやレース中において、座骨痛や会陰部の痺れは大きな問題となりますが、PAS技術はこれらの問題を軽減する効果があると実感しているユーザーが多いです。坐骨神経への圧迫を軽減し、デリケートな部分の血流を保つことで、長時間のライディングでも快適さを維持できるという評価が一般的です。
ただし、PAS構造には注意点もあります。一部のユーザーからは、カットアウト部分の樹脂ベースが臀部に接触し、逆に痛みを引き起こす可能性があるという指摘があります。これは、個人の体型やサドルポジションによって異なるため、購入前に実際に試乗することが推奨されます。また、カットアウトがない方が快適だと感じるライダーも存在するため、PAS構造が万人に最適というわけではありません。自分の体質や走行スタイルに合わせて、穴あきタイプか穴なしタイプかを選択することが重要です。
医学的な観点からも、PAS技術は理にかなった設計とされています。会陰部は、長時間の自転車走行において圧迫されやすく、血流の低下や神経への圧迫による痛みやしびれを引き起こすことがあります。PAS構造は、この部分への圧力を分散させ、血流を改善することで、健康面でもメリットがあると評価されています。
MSS技術への評価とペダリング効率
SCRATCH M5のもう一つの革新的な技術が、MSS(Multi Sector System)です。これは、ミラノ工科大学との共同研究により開発された技術で、サドルのパッドを5つの独立したセクターに分割し、それぞれが独立して機能する構造となっています。この技術に対する評価も、多くのユーザーから高く評価されています。
各パッドは、ペダリング動作における押し出しフェーズと引き上げフェーズの両方をサポートし、快適性とパフォーマンスを向上させるという設計コンセプトです。後部のパッドは座骨をしっかりと支え、ペダリングの引き上げフェーズを支援します。中央部の3つのセクターは、柔らかい組織が配置される部分であり、最大限の快適性を提供します。前部のパッドは、前傾姿勢でサドルの先端に座るような場合でも、優れたサポートを提供します。
実際のユーザーレビューでは、MSS技術によってペダリングがスムーズになり、パワーの伝達効率が向上したという声が多数あります。独立したパッドがペダリング中の自然な動きを促進し、サドルに伝わる振動を吸収する機能も高く評価されています。結果として、より効率的なパワー伝達と快適なライディングが実現されるという評価が一般的です。
SCRATCH M5のT字型デザインは、中央部のパッドを鋭く削り取った形状となっており、これが快適性とペダリングパフォーマンスの向上に寄与しているという声もあります。丸みを帯びた形状は、骨盤の柔軟性が低いサイクリストにも最適であると評価されており、幅広いライダーに対応できる設計となっています。
3DMSS新モデルの評判と革新性
2025年4月、プロロゴはSCRATCH M5 PASに新たな進化をもたらしました。3Dプリント技術を採用したSCRATCH M5 PAS 3DMSSモデルの登場です。これは、プロロゴにとって2つ目の3Dプリントサドルとなり、サドル技術の新たな地平を開くものとして業界内で注目を集めています。
3DMSS技術は、従来のMSS技術をさらに発展させたもので、3Dプリントにより、各セクターに異なる密度と弾性係数を持たせることが可能になりました。具体的には、サドルは3つの主要ゾーンに分けられています。後部セクションは高密度で高い弾性係数を持ち、座骨をしっかりとサポートします。中央セクションは低密度で中程度の弾性係数を持つ3つのセクションで構成され、柔らかい組織が配置される部分に最大限の快適性を提供します。前部セクションは中密度で低い弾性係数を持ち、サドルの先端に座る場合でも優れたサポートを提供します。
この3DMSS技術は、プロロゴ独自のPressure Map MyOwnテストシステムを使用して開発されました。タデイ・ポガチャル、マーク・カヴェンディッシュ、ゲラント・トーマス、ペジョ・ビルバオ、アルベルト・ベッティオルといったトップカテゴリーのライダーの協力のもと、完成された技術であり、プロの世界でも認められた性能を持っています。
SCRATCH M5 PAS 3DMSSの重量は、Nackレールで176g、Tiroxレールで209gとなっており、従来モデルとほぼ同等の軽量性を維持しながら、より高度な快適性とサポート性を実現しています。早期に入手したユーザーからは、従来モデルよりもさらに快適で、長時間のライドでも疲労が少ないという評価が寄せられています。3Dプリント技術により、従来の製造方法では実現できなかった、複雑な内部構造と可変密度のパッドが可能になったことが、この性能向上の鍵となっています。
3Dプリント技術の利点は、単に軽量性だけではありません。将来的には、個人のPressure Mapデータに基づいて、完全にカスタマイズされたサドルが製造される可能性を秘めています。プロロゴは、2024年にNAGO R4 PAS 3DMSSを発売し、わずか149gという驚異的な軽量性を実現しました。SCRATCH M5 PAS 3DMSSは、この技術の実用化における重要なマイルストーンであり、今後のサドル技術の進化を示唆するものとして、高い評価を受けています。
CPC技術の評判とグリップ力
SCRATCH M5シリーズには、CPC(Connect Power Control)テクノロジーを搭載したモデルも用意されています。CPCは、プロロゴが特許を取得した独自のシステムであり、振動吸収、ポジションの安定性、そしてグリップ力の向上を提供する技術です。この技術に対する評価も、多くのユーザーから高く評価されています。
CPCは、サドル表面に配置された3Dポリマーグリップで構成されており、F1レースで使用されているものと同じ原理を採用しています。SCRATCH M5のCPCは、非常に細かい円筒状の吸盤が敷き詰められたタイプで、手で触ってみても明らかにグリップ力の差があります。このグリップ力により、高強度のスプリントやヒルクライムでも、サドル上でのポジションが安定するという評価が多数あります。
実際のユーザーレビューでは、CPC表面の3Dポリマー構造が路面からの振動を吸収し、筋肉疲労の軽減に貢献しているという声があります。長時間のライドやラフな路面でのライディングにおいて、この振動吸収効果は大きなメリットとなっています。また、座面とCPCグリップの間に空間が作られることにより、通気性が向上し、夏場の暑い時期でも快適性が保たれるという評価もあります。
あるユーザーは、カーボンレールの剛性の高さと、座面を滑らないという支点となる臀部での力の逃げの少なさが合わさることで、最強のサドルになっていると評価しています。特に、パワーを効率的に伝達したいレーサーには、CPC搭載モデルは魅力的な選択肢となっています。SCRATCH M5 CPCは、ツール・ド・フランスでタデイ・ポガチャル選手が使用したことでも知られており、最高峰のレースでの実績も証明されています。
ただし、CPCの凹凸がある表面は、一部のライダーには違和感を感じる場合もあります。また、通常モデルに比べてやや価格が高くなるため、自分のニーズに合わせて選択することが重要です。CPCを搭載しないモデルでも十分な性能を持っているため、予算や好みに応じて選択すると良いでしょう。
価格に対する評価とコストパフォーマンス
PROLOGO SCRATCH M5 PASの価格は、Nackレールモデルが57,200円、Tiroxレールモデルが44,000円となっています。高級サドル市場において、この価格設定は妥当であると評価されています。競合他社の同等クラスのサドルと比較しても、プロロゴの価格設定は競争力があります。
Nackレールモデルは、軽量性を重視するレーサーやパフォーマンスを追求するライダーに適しており、174gという重量は、この価格帯のサドルとしては非常に優秀です。一方、Tiroxレールモデルは、コストを抑えつつも高性能なサドルを求めるライダーに最適な選択肢となっています。約13,000円の価格差で、基本的な性能は同じであるため、重量にこだわらないライダーにはTiroxレールモデルがコストパフォーマンスに優れた選択となります。
3DMSSモデルも同様の価格設定となっており、最新の3Dプリント技術を採用したにもかかわらず、手の届きやすい価格帯となっている点は評価されています。競合他社の3Dプリントサドルと比較しても、プロロゴの価格設定は魅力的です。セライタリアのSLRチタニウムやフィジークのAntares Versus Evo R1といった競合製品と比較すると、SCRATCH M5 PASは同等またはやや安価な価格設定となっており、コストパフォーマンスは良好です。
ただし、高級サドル全般に言えることですが、初めてロードバイクを始める初心者にとっては、かなり高価な投資となります。しかし、サドルは快適性とパフォーマンスに直結する重要なコンポーネントであり、長期的に見れば、質の高いサドルに投資する価値は十分にあります。多くのユーザーからは、この価格帯に見合った性能と品質を提供しているという評価が寄せられています。
競合製品との比較評価
PROLOGO SCRATCH M5 PASは、レーシングサドル市場において、他の主要ブランドと競合しています。競合製品との比較により、このサドルの強みと弱みが明確になります。
セライタリア(SELLE ITALIA)は、イタリアの老舗サドルメーカーで、超軽量サドルで知られています。SLR Boostは超軽量125gを実現したレーシングサドルで、プロロゴのNAGO R4 3DMSSに匹敵する軽量性を持っています。SLRチタニウムは148gのロングセラーモデルで、SCRATCH M5 PAS(174g)よりも軽量です。ただし、極限まで軽量化されているため、耐久性や快適性には一定の妥協が必要です。セライタリアのID Matchシステムは、ライダーの柔軟性と座骨幅に基づいて最適なサドルを推奨する独自のフィッティングシステムとして高く評価されています。
フィジーク(FIZIK)は、イタリアの高級サドルブランドで、独自のデザインと技術で人気を博しています。Antares Versus Evo R1は、プロ選手も愛用するハイエンドモデルで、レースからロングライドまで幅広く対応します。SCRATCH M5 PASと同様に、トップレーサーに支持されており、両者は競合関係にあります。フィジークも3Dプリント技術を採用しており、従来の軽量サドルにありがちな乗り心地の悪さを解消しています。ARGOシリーズは、ショートノーズモデルとして展開されており、前傾姿勢での快適性に優れています。
スペシャライズド(SPECIALIZED)は、アメリカの総合自転車メーカーで、独自の研究開発により革新的なサドルを提供しています。POWERシリーズは、ショートサドルの代名詞となったヒット作で、異例の人気を博しています。POWER EXPERT SADDLEは235g前後で、SCRATCH M5 PASよりやや重めですが、幅広いライダーに適応する汎用性があります。スペシャライズド独自のBody Geometry Fitは、科学的なアプローチで最適なサドルを選択できるシステムとして評価されています。
これらの競合製品と比較すると、SCRATCH M5 PASは、174gという軽量性、PASによる快適性、MSSによるペダリング効率、そしてプロレーサーの実績という点で、バランスの取れた選択肢と評価されています。特に3DMSSモデルの登場により、3Dプリント技術においても競合他社と肩を並べる製品となっており、市場での競争力は高いと言えます。
サドル選びのポイントとフィッティングの重要性
PROLOGO SCRATCH M5 PASは優れたサドルですが、すべてのライダーに最適というわけではありません。自分に合ったサドルを選ぶためには、いくつかのポイントを考慮する必要があります。
まず、用途を明確にすることが重要です。レースやハイスピードなトレーニングには、SCRATCH M5のような軽量でペダリング効率に優れたサドルが適しています。一方、ロングライドやツーリングには、より厚いパッドを持つモデルが快適です。超長距離ライドを主に行うライダーには、SPACEバリアントやDimension NDRモデルのような快適性重視のサドルが推奨されます。
次に、座骨幅に合わせて選ぶことが重要です。SCRATCH M5 PASは140mm幅ですが、個人の体格によっては、より広いまたは狭いモデルが適している場合があります。プロロゴは、専門店でのフィッティングサービスを推奨しており、座骨幅を測定してから購入することで、より快適なライディングが可能になります。一般的な測定方法としては、柔らかいクッション材や段ボールの上に座り、座骨が接触した部分の距離を測定します。この測定値に基づいて、適切なサドル幅を選択できます。
骨盤の柔軟性も重要な要素です。SCRATCH M5の丸みを帯びた形状は、骨盤の柔軟性が低いライダーに最適です。逆に、骨盤の柔軟性が高く、より前傾姿勢を取るライダーには、NAGOシリーズのようなフラットまたはやや湾曲した形状が適しています。バイクフィッターや専門店でのフィッティングサービスを利用することで、自分の骨盤の柔軟性を客観的に評価してもらうことができます。
PASの有無についても検討が必要です。中央部のカットアウトは、会陰部への圧迫を軽減しますが、すべてのライダーに必要というわけではありません。カットアウトがない方が快適だと感じるライダーもいます。自分の体質や走行スタイルに合わせて選択しましょう。試乗できる機会があれば、積極的に利用することをお勧めします。
パッドの厚みも重要なポイントです。レース用途には薄いパッドが適していますが、ロングライドには厚いパッドの方が快適です。SPACEモデルは、SCRATCH M5より5mm厚いパッドを持っており、長距離ライドに適しています。自分の主な用途に応じて、適切なパッドの厚さを選択することが重要です。
サドルポジショニングの重要性と調整方法
どれほど優れたサドルを選んでも、適切なポジショニングがなされていなければ、その性能を十分に発揮できません。SCRATCH M5 PASの性能を最大限に引き出すためには、正しいサドルポジションの設定が不可欠です。
サドル高さは、ペダリング効率と快適性に直接影響します。一般的な目安として、ペダルが最下点にある時に、膝が軽く曲がる程度の高さが推奨されます。高すぎると腰が左右に振れ、低すぎると膝への負担が増加します。適切なサドル高さを見つけるには、何度かライドを重ねながら微調整を行うことが必要です。
サドル前後位置は、膝とペダルの位置関係に影響します。クランクが水平の状態で、膝のお皿の下がペダル軸の真上に来るのが基本的な設定です。前過ぎると膝に負担がかかり、後ろ過ぎるとペダリング効率が低下します。この基本設定から、個人の体格や柔軟性に応じて微調整を行います。
サドル角度は、快適性に大きく影響します。基本的には水平が推奨されますが、個人の体格や柔軟性によって微調整が必要です。前下がりにすると手への負担が増え、前上がりにすると会陰部への圧迫が増加します。PASを持つSCRATCH M5では、わずかな角度の変化でも快適性が大きく変わる可能性があるため、0.5度単位での微調整を行い、最適な角度を見つけることが重要です。
サドルポジションの調整は、一度に大きく変更せず、少しずつ調整することが推奨されます。一つの変更につき数回のライドを行い、体の反応を確認してから次の調整に進みましょう。プロフェッショナルなバイクフィッティングサービスを利用することで、より科学的で正確なポジショニングが可能になります。投資する価値は十分にあると、多くのユーザーが評価しています。
長距離ライドでの使用上の注意点
SCRATCH M5 PASは基本的にレーシング用途を想定して設計されていますが、適切な準備と使い方により、長距離ライドでも快適に使用できます。多くのユーザーからの経験に基づいた使用上の注意点があります。
まず、パッド付きレーサーパンツの使用が不可欠です。長距離ライドでは、質の良いパッド付きレーサーパンツの使用により、サドルのパッドが薄い分、ウェアのパッドで補うことで、快適性が大幅に向上します。高品質なサイクリングウェアへの投資は、長距離ライドの快適性を左右する重要な要素です。
100kmを超えるようなライドでは、シャモアクリームの使用を検討しましょう。摩擦を減らし、炎症を防ぐ効果があり、多くのロングライダーが愛用しています。特に超長距離ライドでは、このようなケアが痛みの発生を大幅に軽減します。
ポジション変更の習慣も重要です。長時間同じポジションで座り続けると、どんなサドルでも痛みが発生します。定期的にポジションを変え、立ち漕ぎを取り入れることで、圧迫される部位を分散できます。意識的にサドル上での位置を前後に変えたり、立ち漕ぎを挟んだりすることで、同じ部位への持続的な圧迫を避けることができます。
休憩の取り方も重要なポイントです。50から60km毎に休憩を取り、サドルから完全に降りて体を動かすことで、血流を回復させることができます。長距離ライドでは、無理をせず、定期的な休憩を計画に組み込むことが、快適なライディングの鍵となります。
慣らし期間も忘れてはいけません。新しいサドルには慣らし期間が必要です。最初は短い距離から始め、徐々に距離を伸ばしていくことで、体が新しいサドルに適応します。SCRATCH M5 PASも例外ではなく、最初の数回のライドでは、短めの距離で様子を見ることが推奨されます。急に長距離ライドに使用すると、体が適応する前に痛みが発生する可能性があります。
メンテナンスと耐久性に関する評判
SCRATCH M5 PASは、高品質な素材と製造技術により、長期間の使用に耐える耐久性を持っていると評価されています。しかし、適切なメンテナンスを行うことで、さらに長く快適に使用することができます。
定期的な清掃が重要です。サドルは、汗や泥にさらされるため、定期的な清掃が必要です。柔らかい布と中性洗剤を使って、表面を拭き取りましょう。強い化学薬品や研磨剤は、表面を傷つける可能性があるため、避けてください。清潔に保つことで、素材の劣化を防ぎ、長期間快適に使用できます。
レールの点検も欠かせません。レールは、サドルの重要な構造部分です。定期的に、レールに亀裂や変形がないか点検しましょう。特に、Nackレールは軽量である反面、過度な締め付けや衝撃に弱い場合があります。シートポストへの取り付けトルクは、メーカーの推奨値を守りましょう。適切なトルクで固定することで、レールの破損を防ぐことができます。
パッドの状態確認も重要です。パッドが損傷したり、硬化したりしていないか確認します。特に、PAS部分のエッジは、長期間の使用で摩耗する可能性があります。異常な摩耗が見られる場合は、サドルポジションの調整が必要かもしれません。パッドの状態をチェックすることで、快適性を長期間維持できます。
保管環境にも注意が必要です。サドルを長期間保管する場合は、直射日光や高温多湿を避け、乾燥した場所に保管しましょう。極端な温度変化は、素材の劣化を早める可能性があります。適切な環境で保管することで、サドルの寿命を延ばすことができます。
多くのユーザーからは、適切なメンテナンスを行うことで、数年間にわたって快適に使用できているという報告があります。高品質なサドルへの投資は、適切なケアにより、長期的に見て十分に価値があると評価されています。
総合評価とまとめ
PROLOGO SCRATCH M5 PASに対する評判を総合すると、レーシング用途からミドルディスタンスのライドまで、パフォーマンスを重視するライダーにとって非常に優れた選択肢であると言えます。タデイ・ポガチャルやヨナス・ヴィンゲゴーといったツール・ド・フランス優勝者が実際に使用し、勝利を重ねてきた実績は、このサドルの性能を何よりも雄弁に物語っています。
PAS技術による会陰部圧迫の軽減は、多くのユーザーから肯定的な評価を受けており、長時間のライディングでも快適性を保つことができます。MSS技術によるペダリング効率の向上も、実際のライディングで体感できるレベルであり、パワーの伝達効率を重視するライダーには大きなメリットとなっています。
2025年に登場した3DMSS技術を採用したモデルは、3Dプリントによる可変密度パッドにより、さらなる快適性とサポート性を実現しており、サドル技術の最前線を示す製品として高く評価されています。174gという軽量性も、競合他社の製品と比較して優秀であり、重量を気にするレーサーにとっても魅力的です。
価格については、Nackレールモデルで57,200円、Tiroxレールモデルで44,000円という設定は、高級サドル市場において妥当であり、提供される性能を考えると、コストパフォーマンスは良好です。競合他社の同等クラスの製品と比較しても、競争力のある価格設定となっています。
ただし、超長距離ライドにおいては、パッドの薄さと硬さが痛みの原因となる可能性があるという指摘もあります。200kmを超えるようなブルベなどを主な用途とするライダーには、より厚いパッドを持つSPACEモデルやDimension NDRモデルが適している場合があります。自分の主な用途を明確にし、それに合わせたモデル選択が重要です。
サドル選びとフィッティングの重要性も、多くのユーザーが強調しています。どれほど優れたサドルでも、自分の体格や走行スタイルに合っていなければ、その性能を発揮できません。座骨幅を測定し、骨盤の柔軟性を考慮し、適切なポジショニングを行うことで、SCRATCH M5 PASの真の性能を引き出すことができます。専門店でのフィッティングサービスの利用は、投資する価値があると評価されています。
CPC技術を搭載したモデルは、グリップ力と振動吸収性能がさらに向上しており、レース志向の強いライダーには特に推奨されます。タデイ・ポガチャル選手もCPC搭載モデルを使用しており、最高峰のレースでの実績が証明されています。
結論として、PROLOGO SCRATCH M5 PASは、軽量性、ペダリング効率、適度な快適性、そしてプロレーサーの実績という点で、バランスの取れた優れたレーシングサドルです。レースや100から150km程度までのライドを主な用途とし、パフォーマンスを重視するライダーには、強くお勧めできる製品です。適切なフィッティングと使用方法により、このサドルは多くのサイクリストの期待に応え、快適で効率的なライディング体験を提供してくれるでしょう。購入を検討している方は、ぜひ専門店で実際に試乗し、自分の体に合うかを確認してから購入することをお勧めします。

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