マビック COSMIC SL45 DISCは、「コストパフォーマンスに優れた長距離向けカーボンホイール」として多くのサイクリストから高い評判を得ています。20万円前後の価格帯でありながら、上位モデルと同じハブを採用し、乗り心地の良さと疲れにくさが特に評価されているホイールです。本記事では、MAVIC COSMIC SL45 DISCの評判を徹底的に掘り下げ、プロライダーから一般ユーザーまでの実際の使用感、メリット・デメリット、どのようなライダーに向いているかを詳しく解説します。カーボンホイールへのアップグレードを検討している方、特にロングライドやエンデューロを楽しむ方にとって、購入判断の参考となる情報をお届けします。
マビック COSMIC SL45 DISCとは
MAVIC COSMIC SL45 DISCは、フランスの老舗自転車パーツメーカーMAVIC(マビック)が展開するミドルグレードのカーボンホイールです。COSMICシリーズは2021年からカーボンリムモデルの統一ブランドとして展開されており、ハイエンドのSLR(Super Light Racing)とミドルグレードのSLという2つのグレードが用意されています。
SL45 DISCはその名の通り45mmのリムハイトを持つディスクブレーキ専用モデルで、2025年モデルでは大幅なアップデートが施されました。最大の進化ポイントは、リム素材が3Kカーボンから上位モデルにも採用されるUDカーボンに変更されたこと、そしてリム内幅が19mmから23mmのワイドリムへと拡大されたことです。この変更により、ワイド化しているにもかかわらず前後で約30gの軽量化と剛性アップを実現し、走りの質が向上しています。
MAVICというブランドは、1889年にシャルル・イドゥーとリュシアン・シャネルという二人の人物が自転車パーツの製造を始めたことに起源を持ちます。130年以上の歴史の中で数々の革新的な技術を生み出してきたMAVICは、1994年に完組ホイールという概念がまだ定着していなかった時代に初代コスミックをリリースしたパイオニアでもあります。1973年からはツール・ド・フランスをはじめとする主要な自転車ロードレースでニュートラルカーを提供しており、黄色地に黒で「MAVIC」のロゴが入った通称「マヴィックカー」はロードレースの象徴的な存在となっています。
マビック COSMIC SL45 DISCの基本スペック
2025年モデルのMAVIC COSMIC SL45 DISC 23mmの基本仕様について解説します。リム素材には100%UDカーボンファイバーが採用されており、リムハイトは45mm、リム内幅は23mm(従来モデルは19mm)、リム外幅は32mmとなっています。タイヤ規格はUSTチューブレスレディおよびリムテープチューブレス対応で、推奨タイヤサイズは25mmから32mmです。重量はペアで1555g、内訳はフロント720g、リヤ835gとなっており、希望小売価格は242,000円(税込)です。
上位モデルのSLR 45との主な違いを表で比較すると、それぞれの特徴が明確になります。
| 項目 | COSMIC SL 45 | COSMIC SLR 45 |
|---|---|---|
| 重量 | 約1555g | 約1482g |
| 価格(税込) | 242,000円 | 363,000円 |
| チューブレス対応 | リムテープ使用 | テープレス(UST) |
| FORE CARBON | 非採用 | 採用 |
| ハブ | インフィニティハブ | インフィニティハブ |
両モデルで注目すべき点は、ハブが同一のものが採用されているということです。約12万円の価格差がありますが、SLRに採用されているFORE CARBONテクノロジーによるテープレスチューブレス対応と、約70gの軽量化が主な違いとなります。コストパフォーマンスを重視するならSL、軽量性とチューブレスの運用しやすさを重視するならSLRという選択になります。
マビック COSMIC SL45 DISCの技術的特徴
NACAプロファイルリムによる空力性能
COSMIC SL45 DISCは45mmのNACA準拠のリム形状を採用しています。NACAとは航空宇宙分野で用いられる翼型の規格であり、これをホイールリムに応用することで優れた空力特性を発揮します。このプロファイルはドラッグ(空気抵抗)を低く抑え、スピードアップを可能にします。リムにはかなりの厚みがあり、ヨー角の大きな風、つまり横風や斜めの風であっても高い空力性能を発揮します。
45mmというリムハイトは「バランスの良い」高さとして知られています。エアロホイールとしての万能性を備えており、平地での高速巡航だけでなく、登坂でも重さを感じにくい設計となっています。
USTチューブレスシステムの快適性
MAVICのUST(Universal System Tubeless)チューブレスシステムは、同社が誇る独自技術です。チューブがないことで摩擦が少なくなり、効率性とグリップ力がアップし、リム打ちパンクのリスクが軽減されます。
2025年モデルではリムベッドの形状が新しくなり、タイヤの着脱が容易になりました。USTコンセプトはトラクション、コントロール、快適性を向上させながら、慣性とパンクを低減します。チューブレスタイヤとホイールシステムの良さ、タイヤを低圧で乗ることでの乗り心地の良さが際立っています。
インフィニティハブとインスタントドライブ360
COSMIC SL45 DISCには、MAVICの「インフィニティハブ」が採用されています。高剛性アクスル、耐久性の高いベアリング、ID360テクノロジー搭載の新しいハブデザインにより、剛性、耐久性、メンテナンス性が向上しています。ハブには2クロス組のスポーク同士が接触しないようなデザインと、左右のスポーク長が同一となるフランジ設計が採用されています。
MAVICの「インスタントドライブ360」フリーホイールは、わずか9度の噛み合わせで瞬時の加速を可能にする新開発の超軽量フリーホイールです。軽量かつ40ノッチ(9度の角度)に刻まれたラチェットが高速で噛み合うようになっており、高い耐久性を持つシステムとなっています。非接触式の大型ラバーシールで摩擦を抑え、多彩に揃ったエンドキャップが幅広い汎用性を実現しています。
インスタントドライブ360フリーホイールにはベアリングの与圧を自動で調整する「QRM オート」が組み合わされ、素早いエンゲージメント、高い剛性、優れた耐久性を実現しています。このID360フリーホイールテクノロジーによるパワー伝達のロスの少なさが大きな要因で、スピードを上げていくほどにリムの回転力を感じられ、グイグイ前に押し出してくれるような感覚があるとされています。
フラットスポークによる空気抵抗低減
COSMIC SL45 DISCは、重量を抑えレスポンス性能を向上させたフラットなダブルバテッドスポークを採用しています。45mmリムプロファイルとフラットスポークの組み合わせにより空気抵抗を低減し、より効率的なワット出力が可能となっています。
マビック COSMIC SL45 DISCの評判と実際のインプレッション
プロライダーからの評価
成毛千尋氏(アルディナサイクラリー)は、COSMIC SLシリーズを「長距離ライドにぴったりの脚残りが良いホイール」と評価しています。「カタログスペック以上の走りの軽さがあって、上り、下り、平坦、地形を選ばずに気持ちよく走れる」「チューブレスシステムと絶妙なスポークテンションが相まって、とにかく乗り心地が良い」とコメントしています。
踏み込みに対しては「いったんタメてからグンっと加速するようなフィーリングなので、非常に脚に優しい」という評価です。激しいクリテリウムよりも、おきなわやニセコのような長距離レース、ロングライドやエンデューロ、ブルベに向いているとされています。
一般ユーザーによる評価
4カ月使用し、総走行距離600km程度(平地メイン)の使用レビューでは、「この価格帯でこんなに走るホイールは異常です」と高評価を得ています。乗り心地が相当良く、1人で走っているときは快適であること、ホイールチェンジしてからは疲れ具合が違うことが報告されています。ハブの回転も良くなっており、新しいテクノロジーのリヤハブで最高級モデルと同じハブでベアリングも同じである点が評価されています。外周が軽量なので初速も速く楽に出るという声もあります。
特に注目すべきは、以前使っていたROVAL CLX50(約30万円)とMAVIC COSMIC SL 45(約18万円)で12万円の差は感じないという評価です。これはCOSMIC SL45のコストパフォーマンスの高さを如実に示しています。
ショップスタッフによる2025年モデルの評価
147km(獲得標高1300m)のコースを試乗した結果、以下のような評価が報告されています。リムハイト45mmの恩恵からかなり楽に平坦区間を進めることができ、下り区間では太くなったタイヤの影響か、かなり安定して下り坂を走ることができたとのことです。乗り心地もかなり良く、あまり踏み込まなくとも徐々にスピードに乗れるので平均パワーが抑えられるという特徴があります。平地での巡航が非常に気持ち良く、登りでもリムハイトの高さによるもっさり感は特に感じられないと評価されています。
長期使用での実感
半年ほど使用したユーザーによると、「使ってみて一番驚いたのが『ロングライドで疲れにくくなった』という事。以前のホイールで走っていたコースでも明らかに『足が残っている』という感覚があります」との報告があります。「剛性感が程よいので、ロングライドをしても疲れにくいです。ワイドリムになったことでエアボリュームも増え、より快適性は高まったと思います」という評価も見られます。
ペダリング特性について
新型COSMIC SL45の走行感について、多くのレビューで共通して語られているのが独特のペダリングフィールです。「踏んだ瞬間からパワーがかかるというよりは、ちょっと踏んだ奥の方でしっかり掛かる感じがあります。深いところでトルクをしっかり掴み、推進力に変えてくれる感覚です」という評価があります。この特性は、スプリントのような瞬発的な加速よりも、一定のペースを維持する巡航走行に向いていることを示しています。
漕ぎ出しや再加速については、「カタログ重量から受ける印象以上に走行感に軽さがあります。特に漕ぎ出しや、下ったところから再び登るとき、再加速するときにその軽さを感じます」という声が多く聞かれます。「COSMIC SL45は最初から綺麗に車輪が回ってくれるので、二歩目、三歩目のペダリングが軽やかに、かつリズミカルに繋がっていく印象」とのことです。ストップ&ゴーの多い市街地走行やアップダウンの多いコースでも、ストレスなく走れるホイールといえます。
マビック COSMIC SL45 DISCのメリット
優れた乗り心地と快適性
COSMIC SL45 DISCの評判で最も多く挙げられるのが、乗り心地の良さです。チューブレスタイヤとホイールシステムの良さ、タイヤを低圧で乗ることでの乗り心地の良さが際立っています。長距離でも足を残すことができるホイールに仕上がっており、ロングライドやブルベを楽しむライダーから特に支持されています。
2025年モデルで採用された23mm幅のワイドリムは、現在主流の幅広タイヤとの組み合わせに最適化されています。同一タイヤ幅と空気圧に設定した19mm幅のリムよりも約12%の衝撃吸収性が向上しており、路面からの振動を効果的に吸収します。
バランスの取れた走行性能
ハブの回転も良く、外周が軽量なので初速も速く楽に出ます。23mm UDカーボンリムを採用し、45mmリムプロファイルとフラットスポークにより空気抵抗を低減しています。平地での高速巡航から登坂まで、幅広いシーンで安定した性能を発揮します。
また、タイヤの断面形状が円に近い形状となることで、横方向のグリップ力が約10%向上し、コーナリング中の安定性やコントロール性も向上しています。これにより、下り坂やワインディングでの安心感が増しています。
圧倒的なコストパフォーマンス
1555gという軽さと45mmハイトのワイドリムを備えながらも、アルミリムの最上級ホイールくらいの価格設定です。希望小売価格は242,000円(税込)ですが、販売店によっては187,000円から168,300円程度で購入できる場合もあります。20万円を切る価格帯の中では間違いなくトップクラスのホイールといえます。
上位モデルと同じインフィニティハブを採用している点も、コストパフォーマンスの高さを示す要素です。
高い信頼性とアフターサポート
MAVICをオススメする理由として多く挙げられるのが「信頼感」です。130年以上の歴史に裏打ちされた品質、充実したアフターサービス、ブランドへの信頼は、長く使い続けるホイールを選ぶ上で大きな安心材料となります。保証、ブランド、アフターサービスを考えると、このクラスでは本当にこれしかないという評価もあります。
高い汎用性
23mmリムの軽さとスポーキングにより、COSMIC SL45 DISCはマビック史上最も汎用性の高いロードホイールとして設計されています。ロードレース、ロングライド、ヒルクライム等幅広く使いやすいホイールです。様々なフレームとの相性も良く、エアロロードやエンデュランスロードなど、異なるタイプのバイクでも活躍します。
マビック COSMIC SL45 DISCのデメリット
高速域での加速の鈍さ
みんなで巡航時、50km/hを超えた時に加速が鈍いという指摘があります。この点は、クリテリウムのような激しい加減速を繰り返すレースでは不利になる可能性があります。
重量面での課題
カタログスペックでCOSMIC SL45が約1555gです。SHIMANO DURA-ACEのC36がセットで1350g、ROVAL ALPINIST CLX IIは1265gなど、他メーカーの軽量ホイールと比較すると重い部類に入ります。ヒルクライムレースで勝利を目指す場合など、軽量性が最優先される場面では、より軽量なホイールの方が有利です。
レース志向のライダーには物足りない面も
同じ脚力で疲労も同じぐらいだとバイク・ホイールの軽さで勝敗は決まるため、勝ちたい人はもう少し軽いホイールをおすすめするという意見もあります。ダッシュ一発の反応性という面で考えると、より優れたモデルも存在します。激しいクリテリウムのようなレースよりも、長距離レースやロングライドに向いているホイールです。
マビック COSMIC SL45 DISCが向いているライダー
ロングライドを楽しむ人
長距離を走っても体に負担がかかりにくい快適性が最大の魅力です。おきなわやニセコのような長距離レース、ブルベなどに最適で、「脚に優しい」「疲れにくい」という評価が多く見られます。
エンデューロやロードレースを楽しむ人
ロングライドやロードレース、耐久レースを楽しむ方には十分な性能を持つホイールです。長時間走っても疲れにくく、足を残せるという特性は耐久レースで大きなアドバンテージとなります。
初めてカーボンホイールを購入する人
20万円前後という価格帯で、この品質と性能を得られるホイールは貴重です。MAVICというブランドの信頼性と充実したアフターサービスを考えると、初めてのカーボンホイールとして最適な選択肢といえます。
様々な地形を走る人
平地から上り坂まで、あらゆる地形でより速く、より効率的に走行できます。45mmというリムハイトはエアロ効果と軽量性のバランスに優れており、オールラウンドに使いたい人に向いています。
信頼性を重視する人
MAVICブランドの信頼性、アフターサービス、保証を重視する方に適しています。130年以上の歴史を持つブランドとして、パーツの供給やサポート体制が整っています。
他社製品との比較
ZIPP 303S DISCとの比較
ZIPPの「303S DISC」は、フックレスリムを採用し、リムハイトは45mm、前後重量が1500g台で、エアロも登りもいける仕上がりが魅力のモデルです。約10万円台で購入可能なコストパフォーマンスの良いモデルとして知られています。価格重視であればZIPP 303S DISC、ブランドの信頼性やアフターサービスを重視するならCOSMIC SL45 DISCという選択になります。
中華カーボンホイールとの比較
ICANなどの中華カーボンホイールは、UCI認定もあり、税込8万円程度で購入できるためホビーユーザーには申し分ない選択の1つとして人気があります。ただし、アフターサービスやブランドの信頼性ではMAVICに軍配が上がります。長く安心して使いたい場合はCOSMIC SL45 DISCが優れた選択となります。
上位モデルCOSMIC SLR 45との比較
MAVIC COSMIC SLR 45 DISC 23mmは、重量が1482gでSL 45より約70g軽量、価格は363,000円(税込)です。FORE CARBONテクノロジー採用によりテープレスチューブレス対応となっており、インフィニティプラスプラットフォームが採用されています。
SLRとSLでは約12万円の価格差がありますが、ハブは同一のものが採用されています。チューブレスのテープは消耗品であり、場合によってはタイヤ交換の度にテープの張り替えも必要なため、手間とコストが発生します。さらにカタログには含まれない数十グラムの重量増もあります。この点を考慮すると、SLRの価格差には相応の価値があるともいえますが、コストパフォーマンスを重視するならSLという選択が賢明です。
フレームとの相性について
COSMIC SL45は硬すぎない乗り心地とバランスの良さが特徴で、エアロロードやエンデュランスロードなど様々なフレームと相性が良いオールラウンドホイールです。
FELT ARフレームとの組み合わせ例では、「衝撃吸収性に優れたARフレームのカーボンレイアップと、COSMIC SLの硬すぎない足回りの相性はバランスに優れています」と評価されています。タイヤとリムのヨレる量が少なくなるので、カッチリした足回りに仕上がります。剛性が上がったかのような感覚で、路面との追従性があり、巡航速度を保ちやすいという特徴があります。
タイヤ選びのポイント
推奨タイヤサイズ
COSMIC SL45 DISCのリム内幅23mmに合わせて、25cから32c程度のタイヤが推奨されます。ワイドリム化によりタイヤの接地面形状が最適化され、グリップ力と転がり抵抗のバランスが向上します。
人気の組み合わせ
COSMIC SL45 DISCとの組み合わせで人気があるタイヤとしては、Continental GP5000シリーズ、Vittoria Corsa、Pirelli P Zero、Michelin Power Roadなどが挙げられます。いずれもチューブレス対応モデルを選ぶことで、COSMIC SL45 DISCのUST対応を最大限に活かすことができます。
チューブレス運用のメリット
USTチューブレス対応のため、チューブレスタイヤとの相性が良好です。チューブレス化により、転がり抵抗の低減、乗り心地の向上、低圧セッティングによるグリップ向上、リム打ちパンクリスクの軽減といったメリットが得られます。チューブレスタイヤの空気圧は、クリンチャーより5%から10%程度低い設定でも快適に走行可能で、体重や路面状況に応じて調整することをおすすめします。
メンテナンス方法
メンテナンスの重要性
MAVICホイールの多くに使用されているID360ハブシステムは、特別な工具を使用することなく分解できる構造で非常にメンテナンス性に優れています。これは「一番負荷の掛かるパーツなので絶対的にメンテナンスが必要だから」という理由によるものです。
推奨メンテナンス頻度
MAVICのハブは走行1000km毎のメンテナンスをメーカーが推奨しています。シンプルで分解しやすいハブほど、メンテナンス頻度は高めに設定されていることが多いです。
メンテナンスの内容
フリーボディのメンテナンスが快適なライドには肝になります。ホイールもメンテナンスを怠ると走りが重くなり正常に稼動しなくなる可能性があります。チェックとは、ホイールを自転車から外し、フリーボディーをスプロケットごと外してハブ内部の状態を確認することです。
主な対応として、MAVIC専用グリスが無く乾いている場合は専用グリスを充填し、グリスが極度に汚れている場合は各パーツをクリーニングして専用グリスを充填します。ハブ内部に水分が入り込んでいる場合は水分を拭き取り乾燥させて専用グリスを充填します。
使用するケミカルについて
MAVICのホイールをメンテナンスする際には専用のオイルまたはグリスを使う必要があります。他のオイル・グリスでは適正な動作・機能が発揮されません。MAVICでフリーボディ部分にグリスを使うと不具合が出ます。ゴムへの攻撃性があるオイルもダメなので、マヴィック純正が一番良いとされています。モデルによって使用するケミカルは異なるため、モデルに合った見極めも必要です。
メンテナンス時の注意点
スプロケットはホイールから外して洗うこと、洗車をしたらついでにハブもグリスアップすることが推奨されます。高圧洗浄器は絶対に使用してはいけません。ID360は工具無しでフリーボディを脱着できるので簡単にグリスアップができます。MAVICのラチェット音がガラガラ大きい音がする場合、メンテナンス不足の結果であり、ラチェットの摩耗が進んでいるサインです。
インスタントドライブ360はメンテナンスがしやすい反面、水に非常に弱いです。隙間から水分が中に入ってしまい、錆びてきて固着することがあります。雨天走行後は特に注意が必要です。
購入時のポイント
販売価格について
MAVIC COSMIC SL45 DISCの希望小売価格は242,000円(税込)ですが、販売店によっては187,000円から168,300円程度で購入できる場合もあります。20万円を切る価格帯で購入できれば、同クラスのホイールの中では非常にお得といえます。
購入先の選択
オンライン販売店としてはCozy Bicycle、GMT Cycle、サイクルヨシダ、各種Yahoo!ショッピング出店店舗などがあります。実店舗・専門店としてはワイズロード(Y’s Road)各店、STRADA MAVIC STORE、BICYCLE LAND M-2、その他MAVIC正規取扱店で購入可能です。
購入時の注意点
正規代理店での購入をおすすめします。保証内容を必ず確認し、旧モデルと新モデル(23mmワイドリム)の違いを把握した上で選択してください。在庫状況は店舗により異なるため、事前に確認することをおすすめします。
カーボンホイールとチューブレスの基礎知識
カーボンホイールのメリット
カーボンホイールへのアップグレードの最大の魅力は、アルミニウムリムより空気力学的に優れていることです。カーボンホイールが抗力を大幅に削減することを示すデータが多数あります。
素材の密度を比較すると、鉄が7.87、アルミニウムが2.70、カーボンが1.50から2.00となっており、カーボンは鉄の約4分の1、アルミの約2分の1と軽さが際立ちます。カーボンはアルミよりも軽い素材なので、リムハイトの高いディープリムを採用しても、ホイール全体の重量を軽いままにすることができます。カーボンホイールであれば前後で1500g以下のディープリムホイールも実現できます。
良質なカーボンホイールは、バイクの乗り心地を変えます。剛性がアルミニウムより高いため、パワフルなライダー、スプリント、登坂でのダンシングでは、明確な違いをもたらし、応答性が向上します。
カーボンホイールの注意点
カーボンホイールにはいくつかの注意点もあります。性能や重量にもよりますが、安くても10万円以上、高価なホイールだと30万円以上するものもあります。
カーボンホイールは炭素繊維と樹脂で構成されるため、「耐熱性」の点では金属製のホイールに劣ります。勾配のきつい峠の下りなどは、だらだらとブレーキをかけ続けることは避け、メリハリのあるブレーキングを行うといった配慮が必要です。ただし、ディスクブレーキモデルであるCOSMIC SL45 DISCでは、この心配は大幅に軽減されます。
カーボンは素晴らしく頑丈な素材ですが、アルミニウムとは異なり曲がりません。対応しきれない負荷がかかったり、鋭い衝撃や衝突による損傷を受けやすくなります。曲がったアルミニウムのリムは真っ直ぐにすることができますが、カーボンのリムはほとんどの場合使用不可になります。
チューブレスタイヤのメリット
チューブレスタイヤはチューブがないため、チューブが破損することによるパンクが発生しないのが最大のメリットです。さらに、シーラント(特殊な液体)がタイヤ内部に充填されているため、小さな穴が開いても自動的に修復されます。
空気圧を下げて使用できるため衝撃吸収力も高くなり、転がり抵抗が軽いため乗り心地が良いです。最近主流になりつつあるチューブレスは、転がり抵抗の低さが魅力です。
チューブレスタイヤの注意点
チューブレスタイヤは通常のクリンチャータイヤよりも高価です。また、シーラントの定期的な補充や特殊なリムテープが必要など、メンテナンスコストも高くなります。
チューブレスタイヤの取り付けは、クリンチャータイヤに比べて難易度が高いです。空気を完全にシールするためには、専用のエアーコンプレッサーが必要となることもあります。
一度大きなパンクが発生した場合、チューブレスタイヤは修理が難しいとされています。また、現地での修理が困難なため、予備のチューブを持参することが一般的です。
ディスクブレーキとカーボンホイールの相性
カーボンホイールを使うのであれば「ディスクブレーキ」が圧倒的におすすめです。リムブレーキだとブレーキをかけるたびにリムを擦って摩耗してしまうのですが、ディスクブレーキはそういったことがないので、寿命も長く使い続けられます。COSMIC SL45 DISCはその名の通りディスクブレーキ専用モデルであり、カーボンリムの性能を最大限に活かすことができます。
まとめ
マビック COSMIC SL45 DISCは、「コストパフォーマンスに優れた長距離向けカーボンホイール」という評判に違わない、バランスの取れた優れたホイールです。2025年モデルでは23mmワイドリムとUDカーボン素材の採用により、軽量性、剛性、衝撃吸収性がさらに向上しました。
プロライダーから一般ユーザーまで、「乗り心地が良い」「疲れにくい」「コストパフォーマンスが高い」という評価が共通して見られます。特に長距離ライド、エンデューロ、ブルベを楽しむライダーからの支持が高く、「脚に優しいホイール」として評価されています。
一方で、50km/hを超える高速域での加速の鈍さや、他メーカーの軽量ホイールと比較した際の重量面での課題も指摘されています。クリテリウムのような激しいレースよりも、サイクリングを楽しむライダーに向いているホイールです。
20万円前後という価格帯で、上位モデルと同じハブを採用し、130年以上の歴史を持つMAVICブランドの信頼性とアフターサービスを享受できる点は、大きな魅力といえます。初めてのカーボンホイールとして、またはセカンドホイールとして、多くのサイクリストにおすすめできる製品です。

コメント