ファベロ Assioma PRO RS-2の評判は、2024年の発売以来、世界中のサイクリストから極めて高い支持を得ています。イタリアのパワーメーターメーカーFavero社が開発したこのペダル型パワーメーターは、シマノSPD-SLクリートに100%対応し、ペダル1個あたりわずか123.5gという市場最軽量を実現したことで、多くのサイクリストが待ち望んでいた製品として注目を集めました。海外の著名なレビュアーであるDC Rainmakerは「ペダル型のパワーメーターなら、Assioma Pro RS以外のものを求める理由があろうか」と絶賛し、米国の自転車専門誌Bicycling Magazineは2025年のベストパワーメーターとして本製品を選出しています。実際のユーザーからも、精度の高さ、軽量性、充電式バッテリーの利便性、そしてシマノクリートがそのまま使えるという点が高く評価されており、価格と性能のバランスに優れたコストパフォーマンスの良さも評判となっています。本記事では、ファベロ Assioma PRO RS-2の評判を徹底的に検証し、製品の特徴から実際のユーザーレビュー、他製品との比較、購入時の注意点まで詳しく解説していきます。
ファベロ Assioma PRO RS-2とは何か
ファベロ Assioma PRO RS-2は、イタリアのFavero Electronics社が開発したペダル型パワーメーターです。パワーメーターとは、サイクリング中にペダルを踏む力(パワー)をワット単位で計測する装置であり、トレーニングの効率化やパフォーマンス向上を目指すサイクリストにとって欠かせないツールとなっています。Favero社は2017年に初代Assiomaシリーズを発売して以来、高い精度とコストパフォーマンスで評判を築いてきたメーカーであり、PRO RSシリーズはその集大成とも言える製品です。
従来のAssiomaシリーズは、Look KEO互換のクリートを採用していたため、日本で多くのサイクリストが使用しているシマノSPD-SLユーザーは、クリートを変更するか、別途シマノ製ペダルボディを用意する必要がありました。この点は以前から改善が望まれていた部分であり、Assioma PRO RS-2の登場により、シマノSPD-SLユーザーが直接このパワーメーターを使用できるようになったことは、大きな評判を呼んでいます。
Assioma PRO RSシリーズには3つのモデルが用意されています。両側計測モデルのAssioma PRO RS-2は、左右両方のペダルにパワーセンサーを装備した上位モデルで、日本国内価格は142,890円です。片側計測モデルのAssioma PRO RS-1は、左側のペダルにのみパワーセンサーを装備したエントリーモデルで、日本国内価格は93,390円となっています。また、Assioma PRO RS-UPというアップグレードキットも用意されており、RS-1をRS-2へアップグレードすることが可能で、価格は87,890円です。
ポッドレス設計による革新的な構造
ファベロ Assioma PRO RS-2の評判を語る上で欠かせないのが、ポッドレス設計と呼ばれる革新的な構造です。従来のAssiomaシリーズでは、電子部品やバッテリーがペダル外部の円柱状のポッドに収納されていました。このポッドはクランクアーム側に突き出す形で取り付けられており、見た目の違和感やQファクター(左右のペダル間の幅)の増大という課題がありました。
Assioma PRO RS-2では、これらの部品がすべてペダルスピンドル(軸)内に完全に収納されています。この設計は「スプリットアプローチ」とも呼ばれ、ペダルボディから完全に独立して密閉されたスピンドル内にセンサーやバッテリーを収納することで、複数のメリットを実現しています。
外観の面では、外部にポッドがないため通常のロードペダルとほぼ同じ見た目となり、パワーメーターを装着していることがわかりにくいスッキリとした印象になっています。この点は見た目を重視するサイクリストからも好評を得ています。耐久性についても、電子部品が外部に露出していないため、落車時の衝撃や泥、水などによるダメージのリスクが大幅に低減されており、長期使用における信頼性が向上しています。
さらに重要な点として、Qファクターの問題が大きく改善されました。従来のAssioma DUO-Shiは、シマノ製ペダルボディにパワーメーター搭載アクスルを組み込む方式であったため、Qファクターが+63.8~+64.8mmと広めでした。これに対し、Assioma PRO RS-2ではQファクターが+53mmへと大きく削減され、一般的なロードペダルと同等の数値となっています。これにより、より自然なペダリングが可能になったという評判が多く寄せられています。スタックハイト(ペダル軸からクリート面までの高さ)も10.5mmと低く設計されており、ダイレクトなペダリング感覚を実現しています。
IAVパワーシステムによる高精度計測
ファベロ Assioma PRO RS-2の評判を支える技術的な核心が、独自のIAVパワーシステムです。IAVとはInstantaneous Angular Velocity(瞬間角速度)の略称であり、3軸ジャイロスコープを内蔵したシステムによって、従来の加速度計ベースのシステムと比較して、より高精度なパワー測定を可能にしています。
このシステムの優れた点は、様々な状況下でも±1%という高い精度を維持できることです。爆発的なスプリント時には急激なパワー変動にも追従し、正確なデータを記録します。高ケイデンス時においても、150rpm以上の高回転でも精度が落ちることがありません。
特筆すべきは、楕円チェーンリングを使用した場合でも正確なパワーを測定できる点です。オシメトリックやローターなどの楕円チェーンリングは、ペダリング中にチェーンリングの実効半径が変化するため、従来のパワーメーターでは正確な測定が難しいとされていました。しかし、IAVパワーシステムは瞬間角速度を直接測定するため、この問題を克服しています。楕円チェーンリングを愛用するサイクリストからも、正確にパワーが測定できると高い評判を得ています。
ダンシング(立ち漕ぎ)時においても、ペダリングが不安定になりがちな状況で安定したデータを提供します。この点は、インターバルトレーニングやヒルクライムでダンシングを多用するサイクリストにとって重要な評価ポイントとなっています。
モジュラー設計がもたらす経済性
ファベロ Assioma PRO RS-2のもう一つの大きな特徴として評判となっているのが、モジュラー設計の採用です。パワーセンサーが内蔵されたシャフト部分と、ペダルボディ部分が分離可能な構造になっており、これにより複数のバイクを所有するサイクリストに大きなメリットをもたらしています。
この設計により、同社のオフロード用パワーメーターペダル「Assioma PRO MX」のペダルボディと互換性があります。つまり、ロード用のAssioma PRO RSとMTB用のAssioma PRO MXで、シャフト部分を共有することができるのです。ロードバイクとMTB、グラベルバイクなど、複数のジャンルでサイクリングを楽しむライダーにとって、パワーメーターを複数購入する必要がなくなるため、非常に経済的であるという評判があります。
実際の使用方法としては、追加のペダルボディだけを購入すれば、異なるバイクでも同じパワーメーターを使用できます。シャフト部分には計測に必要なセンサーやバッテリーがすべて収納されているため、ペダルボディを交換するだけで簡単に移し替えが可能です。週末にはロードバイクでヒルクライム、平日はMTBでトレイルライドというような使い方をしているサイクリストからは、この経済性が高く評価されています。
主要スペックと性能
ファベロ Assioma PRO RS-2の主要スペックを詳しく見ていきましょう。重量はペダル1個あたり123.5gで、ペア重量は247gとなっています。これは現在市場で入手可能なペダル型パワーメーターとして最軽量クラスであり、軽量化を重視するヒルクライマーから特に高い評判を得ています。
精度は±1%を公称値としており、複数の独立したレビュアーによる検証でもこの精度が確認されています。バッテリーは充電式リチウムイオンバッテリーを採用しており、1回の充電で60時間以上の使用が可能です。週末のみの使用であれば、月に1~2回の充電で十分であり、電池交換の手間とコストがかからない点も評判となっています。
スタックハイトは10.5mmで、一般的なロードペダルと同等の低さを実現しています。Qファクターは+53mmで、これも標準的なロードペダルと同等の数値です。クリート互換性はシマノSPD-SL 100%互換であり、シマノ純正クリートがそのまま使用可能です。購入時には黄色クリート(SM-SH11、フロート角6度)が付属しています。
接続方式はANT+およびBluetoothの両方に対応しており、Garmin、Wahoo、Bryton、Lezyne、IGPSportなど、主要なサイクルコンピューターすべてで使用可能です。また、ZwiftやTrainerRoadなどのスマートトレーナーアプリでも問題なく動作します。防水性能はIP67を取得しており、雨天での使用も問題ありません。動作温度は-10℃~50℃で、寒冷地から酷暑まで幅広い環境で使用できます。
計測できるデータの詳細
ファベロ Assioma PRO RS-2は、ANT+またはBluetoothを通じて多彩なデータをサイクルコンピューターやスマートフォンアプリに送信できます。両側計測モデルであるRS-2ならではの詳細なデータが取得できる点も、この製品の評判を支えている要因です。
パワー(W)はペダリングによって発生する出力をワット単位で計測します。RS-2では左右それぞれのパワーを独立して計測できるため、より詳細な分析が可能です。ケイデンス(rpm)は1分間のペダル回転数を計測し、別途ケイデンスセンサーを取り付ける必要がありません。
左右バランス(%)は左右それぞれのペダルが出力するパワーの比率を表示します。理想的には50%対50%ですが、多くのライダーはどちらかに偏っています。この数値を意識することで、ペダリングの改善に役立てることができます。左右バランスが大きく偏っている場合は、怪我や疲労の蓄積が原因である可能性もあり、トレーニング計画の見直しに活用できます。
PCO(ペダルセンターオフセット)は、ペダル軸に対して力がどの位置で加えられているかを計測します。ペダル中央から何mm外側または内側で踏んでいるかがわかり、クリートポジションの調整に役立ちます。パワーフェーズ(PP)はペダリング中のどの角度範囲でパワーを発生させているかを計測し、開始角度と終了角度がわかるため、ペダリングの効率を分析できます。
ペダルスムースネス(PS)はペダリングの滑らかさを数値化したもので、100%に近いほどペダリングが滑らかであることを示します。トルクエフェクティブネス(TE)はペダリング中に発生したトルクのうち、実際に推進力として活用されている割合を示し、100%に近いほど効率的なペダリングであることを意味します。ライダーポジションはサドルに座っているか立っているかを自動検出する機能で、シッティングとスタンディングの区別がデータとして記録されます。
国内外の専門家による評判
ファベロ Assioma PRO RS-2は、発売以来、世界中の自転車メディアやレビュアーから極めて高い評判を得ています。その評価内容を詳しく見ていきましょう。
米国の著名なスポーツテクノロジーレビュアーであるDC Rainmakerは、Assioma PRO RS-2について「ペダル型のパワーメーターなら、FaveroのAssioma Pro RS以外のものを求める理由があろうか(いやない)」と絶賛しています。DC Rainmakerは3ヶ月にわたる実地テストを実施し、長期間にわたる精度、応答性、ドリフト、オフセット、振動に関する検証がすべて合格したと報告しています。特に、他の高精度パワーメーターとの比較テストにおいて、一貫して±1%以内の誤差で一致することが確認されたと述べています。
米国の自転車専門誌Bicycling Magazineは、「Best Power Meter 2025: Just Buy the Assioma Pro RS-2, the Winner Is Clear, Stop Overthinking It」というタイトルの記事を掲載し、2025年のベストパワーメーターとして最高評価を与えています。この記事では、価格、精度、使いやすさ、軽量性のすべての面でバランスが取れており、迷う必要はないと結論づけています。
英国の自転車メディアroad.ccは、「If you want accurate power measurement on your bike then the Favero Assioma PRO RS-2 pedals are pretty hard to beat」(正確なパワー計測が欲しいなら、Favero Assioma PRO RS-2に勝るものはほとんどない)と評価しています。特に、シマノSPD-SLユーザーにとって待望の製品であり、これまでのペダル型パワーメーター市場における選択肢の制限を大きく解消したと述べています。
実際のユーザーからの評判
専門家のレビューだけでなく、実際に購入して使用しているユーザーからの評判も非常に重要です。各種レビューサイトやSNS、サイクリングコミュニティに寄せられた声を見ていきましょう。
ポジティブな評判として最も多いのは、シマノSPD-SLへの対応に関するものです。「従来モデルではQ-factorの広さやシマノ非対応が問題だったが、RS-2発売後すぐに購入し、400km以上使用して完璧に動作している」という声があります。また、「今まで使っていたシマノのクリートがそのまま使えるので、導入のハードルが低かった」という評判も多く見られます。
外観のスッキリさも好評です。「見た目が普通のペダルと変わらないのがいい」「パワーメーターを付けているとは思えないほど自然な外観」という声があり、従来のポッド式デザインに抵抗があったユーザーからも支持を得ています。
充電式バッテリーの利便性も高く評価されています。「電池切れの心配がなく、USBで簡単に充電できる」「60時間以上持つので、週末ライダーなら月1回の充電で十分」という評判があります。ボタン電池を使用する競合製品と比較して、ランニングコストが抑えられる点もメリットとして挙げられています。
軽量性については、「軽さに驚いた」「ヒルクライムで使っているが、重量増を感じない」という声があります。ペダル型パワーメーターは重量増が懸念される場合がありますが、Assioma PRO RS-2の247g(ペア)という重量は、シマノDura-Ace R9100ペダル(約228g)と比較しても20g程度の差しかなく、実用上問題ないレベルとされています。
アプリの使いやすさも評判です。「Favero Assiomaアプリが直感的で、設定が簡単」「ファームウェアの更新もスムーズ」という声があります。初期設定やキャリブレーションが簡単に行える点は、パワーメーター初心者にとっても安心できるポイントとなっています。
一方で、改善を望む声もあります。「価格がもう少し安ければ」という意見は一定数見られます。142,890円という価格は、パワーメーターとしては競争力のある価格帯ですが、趣味のサイクリングに投資する金額としては高額と感じるユーザーもいます。また、「Look KEO互換モデルも継続してほしい」という声もあり、KEOクリートを愛用しているユーザーからは、選択肢の減少を残念に思う意見が見られます。「充電ケーブルがマグネット式で外れやすい」という指摘もありますが、充電中にペダルを動かさなければ問題ないという意見もあります。
精度検証の結果
ファベロ Assioma PRO RS-2の評判を裏付ける重要な要素として、複数の独立したレビュアーによる精度検証の結果があります。パワーメーターにおいて精度は最も重要な性能指標であり、この点でAssioma PRO RS-2は高い評価を得ています。
検証では、他の信頼性の高いパワーメーター(Quarq DZero、SRM、Stages Powerなど)と同時に使用し、同じライドでのパワーデータを比較する手法が用いられています。その結果、Assioma PRO RS-2は他の高精度パワーメーターと比較して、公称値である±1%以内の誤差で一致することが確認されています。
特に評価されているのは一貫性です。同じ条件で繰り返し計測しても、数値のバラつきが非常に小さいことが確認されています。トレーニングにおいては、絶対値の正確さだけでなく、測定の再現性が重要であり、この点でAssioma PRO RS-2は高い信頼性を示しています。
応答性についても高評価です。急激なパワー変動にも素早く追従し、インターバルトレーニングやスプリント時のデータも正確に記録されることが確認されています。温度安定性も良好で、気温変化による数値のドリフトが少ないことが報告されています。長時間のライドや、季節による気温差が大きい環境でも安定したデータが得られます。長期安定性については、数ヶ月から1年以上使用しても精度が落ちないという報告があり、長期投資としての価値も認められています。
他製品との比較
ファベロ Assioma PRO RS-2の評判をより客観的に理解するため、競合するペダル型パワーメーターとの比較を見ていきましょう。
Garmin Rally RS200は、GPSサイクルコンピューターの最大手であるGarminが販売するペダル型パワーメーターです。価格は約140,800円で、Assioma PRO RS-2とほぼ同等です。重量は約316g(ペア)で、Assioma PRO RS-2より約70g重くなっています。精度は±1%で同等ですが、バッテリーはLR44ボタン電池を使用し、約120時間の駆動が可能です。Garminエコシステムとの親和性が高いというメリットがありますが、電池交換の手間とコストがかかる点はデメリットとなります。
SRM EXAKTは、パワーメーターのパイオニアであるSRM社が販売する製品です。価格は約200,000円以上と高価格帯ですが、プロ選手も使用する高い信頼性で知られています。重量は約340g(ペア)で、クリートはLook KEO互換です。SRMの長年の実績と信頼性を重視するユーザーには選択肢となりますが、価格と重量の面ではAssioma PRO RS-2に優位性があります。
Wahoo POWRLINK Zeroは、約100,000円という価格で購入できるコストパフォーマンスに優れた製品です。重量は約246g(ペア)でAssioma PRO RS-2と同等ですが、クリートはLook KEO互換のみとなっています。シマノSPD-SLユーザーにとっては選択肢とならない点が、Assioma PRO RS-2との大きな違いです。
これらの比較から、Assioma PRO RS-2は軽量性、シマノSPD-SL対応、充電式バッテリー、コストパフォーマンスの面で優位性があることがわかります。特に日本市場においては、シマノSPD-SLユーザーが多いため、この点は大きな評判の要因となっています。
FTPとトレーニングへの活用
ファベロ Assioma PRO RS-2を最大限に活用するためには、パワーメーターを使ったトレーニングの基本を理解することが重要です。ここでは、パワートレーニングの基礎となるFTPについて解説します。
FTPとはFunctional Threshold Power(機能的閾値パワー)の略称で、「1時間維持することができる最大出力」を意味します。これはいわば自分の持久力の指標と言え、乳酸閾値(LT)に相当する運動強度をパワーに置き換えたものです。FTPを基準にすることで、あらゆるトレーニングの強度を適切に設定できるようになります。
FTPを測定する最も一般的な方法は「20分テスト」です。まず十分にウォーミングアップを行い、その後20分間全力で走ります。このとき、できるだけ一定ペースを維持することが重要です。20分間の平均パワーを算出し、その数値に0.95を掛けた値がFTPとなります。例えば、20分間の平均パワーが250Wであれば、FTPは250×0.95=237.5Wとなります。
FTPを基準として、トレーニング強度は通常6~7つのゾーンに分類されます。ゾーン1(アクティブリカバリー)はFTPの55%以下で、疲労回復を目的とした軽い運動です。ゾーン2(エンデュランス)はFTPの56%~75%で、長時間の持久力トレーニングに適しており、脂肪燃焼効果が高いとされています。ゾーン3(テンポ)はFTPの76%~90%で、ベース持久力の向上に効果があり、比較的長時間維持可能です。ゾーン4(スイートスポット/閾値)はFTPの91%~105%で、FTP向上に最も効果的なゾーンとされ、20~30分程度維持可能です。ゾーン5(VO2max)はFTPの106%~120%で、最大酸素摂取量の向上に効果があり、3~8分程度維持可能です。ゾーン6(無酸素)はFTPの121%~150%で、無酸素能力の向上に効果があり、30秒~2分程度維持可能です。ゾーン7(神経筋パワー)はFTPの150%以上で、スプリント能力の向上を目的とした15秒以下の全力スプリントに相当します。
FTPを効率的に向上させるには、SST(スイートスポットトレーニング)が効果的とされています。これはFTPの88%~94%程度の強度で20分を3本程度行うトレーニングで、高い強度ながら比較的長時間維持できるため、トレーニング効果が高いとされています。Assioma PRO RS-2を使えば、リアルタイムでパワーを確認しながら、正確にターゲットゾーンを維持したトレーニングが可能になります。
TSSによる疲労管理とパワーウェイトレシオ
パワーメーターを活用したトレーニング管理において重要な指標として、TSS(トレーニングストレススコア)があります。TSSはパワーを基準として運動時間を反映し、体にかかった負担を数値化したものです。
TSSを活用することで、日々のトレーニング負荷を客観的に把握できます。その日のトレーニングがどれだけ体に負担をかけたかを数値で評価でき、オーバートレーニングを防ぐことができます。週間や月間のTSSを累計することで、適切な休息のタイミングを判断することも可能です。また、目標のレースに向けたピーキングにも活用でき、体調を最高の状態に持っていくための計画を立てることができます。
パワーウェイトレシオは、「体重に対してどれくらいパワーが出せるか」という指標です。計算式は「FTP÷体重」で、単位はW/kgです。例えば、FTPが250W、体重が70kgのライダーのパワーウェイトレシオは、250÷70=3.57W/kgとなります。この数値が高いほど、特に登りで有利になります。ヒルクライムレースでは、パワーウェイトレシオが非常に重要な指標となっており、多くのヒルクライマーがこの数値の向上を目指してトレーニングを行っています。
Assioma PRO RS-2が最軽量クラスのペダル型パワーメーターであることは、パワーウェイトレシオを重視するヒルクライマーにとって大きなメリットです。パワーメーターを導入することによる重量増を最小限に抑えながら、正確なデータに基づいたトレーニングが可能になります。
取り付けと初期設定の方法
ファベロ Assioma PRO RS-2の評判の一つに、取り付けの簡単さがあります。通常のロードペダルと同じように、8mmの六角レンチ1本で脱着することができます。
取り付け手順としては、まずクランクのペダル取り付け穴にグリスを塗布します。次に右ペダル(Rと表記)を右クランクに取り付けます。右ペダルは時計回りに締めます。左ペダル(Lと表記)を左クランクに取り付ける際は、反時計回りに締めます。最後に適切なトルクで締め付けて完了です。Assiomaシリーズの特徴として、特別なトルク管理が不要であり、通常のペダルと同じように締めるだけで問題ありません。
充電には付属のマグネット式専用ケーブルを使用します。充電ケーブルは2本付属しているため、左右のペダルを同時に充電できます。充電時間は約2~3時間程度で、充電中はLEDインジケーターが点滅し、充電完了すると点灯に変わります。
Assioma PRO RS-2を最大限に活用するためには、Faveroの公式アプリ「Favero Assioma」をスマートフォンにインストールすることをおすすめします。iOSとAndroidの両方に対応しています。ペアリング手順は、スマートフォンのBluetoothをオンにし、Favero Assiomaアプリを起動します。ペダルを回転させて電源を入れるとLEDが点滅するので、アプリ右上の検索ボタンをタップし、検出されたAssiomaを選択して接続します。
初期設定項目としては、クランクアーム長の設定が重要です。正確なパワー計測のために、使用しているクランクの長さ(165mm、170mm、172.5mm、175mmなど)を正しく設定することが必要です。また、パワーデータ送信方式の設定は通常「単一チャンネル」に設定しておけば、左右のパワーがまとめて送信されます。ファームウェアの更新もアプリを通じて行うことができ、定期的にチェックして常に最新の状態を維持することをおすすめします。
キャリブレーション(校正)の重要性
パワーメーターの精度を維持するためには、定期的なキャリブレーション(ゼロオフセット校正)が必要です。Assiomaの場合、校正は非常に簡単に行えるという評判があります。
校正手順は、まずペダルに足を乗せていない状態にします。次にクランクを地面と垂直にし、ペダルが下向きになるようにします。アプリで「手動校正」をタップすると、数秒で完了します。
以下の場合は必ず校正を行うことが推奨されています。ペダルを別のバイクに移し替えた時、気温が大きく変化した時(10℃以上の変化)、長期間使用していなかった後、数値に疑問を感じた時です。定期的なキャリブレーションを行うことで、常に正確なデータを取得できます。
購入時の注意点と保証について
ファベロ Assioma PRO RS-2を購入する際の注意点と、購入先の選択について解説します。
日本国内では、サイクルショップやオンラインストア(サイクルヨシダ、ワイズロード、COG’Sなど)で購入可能です。正規代理店から購入すれば、正規品の保証が受けられるため安心です。Amazon.co.jpでも取り扱いがあり、プライム会員であれば配送が早いというメリットがあります。BikeinnやPower Meter Cityなどの海外サイトでは、日本より安く購入できる場合がありますが、輸入関税や保証の問題があるため注意が必要です。
Favero製品には、購入日から2年間の製品保証が付いています。保証を受けるには、購入証明(レシートや注文確認メール)が必要です。保証対象は製造上の欠陥と正常使用における故障で、落車などによる物理的損傷、不適切な使用や改造、消耗品(クリートなど)は保証対象外となります。
メンテナンスについて、Assioma PRO RS-2は基本的にメンテナンスフリーですが、定期的なファームウェア更新を行うことで新機能の追加やバグ修正の恩恵を受けることができます。清掃は汚れがひどい場合に湿らせた布で拭き取る程度で十分ですが、高圧洗浄は避けてください。長期間使用しない場合は、バッテリーを50%程度まで充電した状態で、涼しく乾燥した場所に保管することが推奨されています。
SPD-SLクリートの基礎知識
ファベロ Assioma PRO RS-2はシマノSPD-SLクリートに対応しているため、SPD-SLクリートについての基礎知識を理解しておくことが重要です。
ビンディングペダルには大きく分けて「SPD-SL」と「SPD」の2種類があります。SPD-SLはロードバイク用に設計されたシステムで、クリートは3つのボルトでシューズに固定します。接地面が広く、高い固定力でパワーロスを減らすことができます。ただし、クリートが大きく露出しているため、歩きにくいというデメリットがあります。SPDは主にMTBやツーリング用に設計されたシステムで、クリートは2つのボルトでシューズに固定します。クリートがシューズのソール内に埋め込まれるため歩きやすいのが特徴ですが、接地面が小さいためロードレースなどでは効率面で不利になる場合があります。
シマノSPD-SLクリートは、フロート角度(左右への遊び)によって3種類に色分けされています。黄色クリート(SM-SH11)はフロート角6度(左右に各3度)で、最も遊びが大きく膝への負担が少ないのが特徴です。サイクリング初心者や膝に不安のある方、柔軟性が低い方におすすめで、Assioma PRO RS-2を購入するとこの黄色クリートが付属しています。青色クリート(SM-SH12)はフロート角2度で、黄色と赤の中間的な特性を持ちます。赤色クリート(SM-SH10)はフロート角0度(固定)で、パワー伝達効率は最も高くなりますが、クリート位置が完璧に調整されていないと膝に大きな負担がかかるため上級者向けです。
クリートの取り付け位置は、パフォーマンスと快適性に大きく影響します。前後位置は親指の付け根(母指球)と小指の付け根(小指球)を結んだ線の中央にペダル軸が来るように調整します。左右位置は足の自然な傾きに合わせて調整し、多くの人はかかとが少し外側を向く傾向があります。SPD-SLクリートは地面に直接触れるため歩くたびに摩耗していきます。クリートカバーを使用することで摩耗を軽減でき、クリートの摩耗インジケーターを確認して適切なタイミングで交換することが重要です。
よくある質問と回答
ファベロ Assioma PRO RS-2について、よく寄せられる質問と回答をまとめます。
Look KEOクリートは使用できますか?という質問については、Assioma PRO RS-2はシマノSPD-SL専用です。Look KEO互換のモデルが必要な場合は、従来のAssioma DUOを検討してください。
他社のSPD-SL互換クリートは使用できますか?という質問については、シマノ純正クリートの使用を推奨しますが、形状が完全に同じであれば他社製品も使用可能な場合があります。ただし、保証対象外となる可能性があります。
雨天でも使用できますか?という質問については、IP67の防水性能を持っているため、雨天でも問題なく使用できます。ただし、水没は避けてください。
Zwiftで使用できますか?という質問については、ANT+およびBluetoothの両方に対応しているため、Zwiftを含むほとんどのスマートトレーナーアプリで使用できます。
クランク長を変更した場合、設定し直す必要がありますか?という質問については、クランク長はパワー計算に影響するため、変更した場合はアプリで設定を更新してください。
まとめ:ファベロ Assioma PRO RS-2の評判と総合評価
ファベロ Assioma PRO RS-2は、ペダル型パワーメーターの新たなスタンダードとして高い評判を獲得しています。シマノSPD-SL 100%互換で多くの日本のサイクリストが使い慣れたクリートがそのまま使用可能であること、ペダル1個あたり123.5gという市場最軽量クラスを実現していること、±1%の高精度を実現するIAVパワーシステムを搭載していること、ポッドレス設計による洗練された外観と高い耐久性を持つこと、モジュラー設計でMTB用ボディとの互換性があること、充電式バッテリーで60時間以上の駆動が可能であること、IP67の防水性能を持つこと、そして142,890円という競争力のある価格であることが主な特徴です。
初めてパワーメーターを導入する方、シマノSPD-SLクリートを使用している方、軽量化を重視するヒルクライマー、複数のバイクでパワーメーターを使い回したい方、コストパフォーマンスを重視する方、トレーニングを科学的に管理したい方には特におすすめです。
パワーメーターは単なるガジェットではなく、自分の能力を客観的に把握し効率的なトレーニングを行うための重要なツールです。ファベロ Assioma PRO RS-2は、その入り口として、また長く使い続けるパートナーとして、現時点で最も優れた選択肢の一つと言えるでしょう。世界中の専門家や実際のユーザーから高い評判を得ているこの製品は、サイクリングをより楽しく、より効率的にしたいすべてのサイクリストにとって検討に値する製品です。

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